感涙保証、私の愛聴盤 その２４

Our Man In Paris/Dexter Gordon

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　その２３に続いてこれもパリで録音された一枚である。時期はほとんど同じで１９６３年５月。リーダーは Dexter Gordon 、テナーサックス奏者である。横顔で分かるとおり、なかなかの二枚目。テナーの音は太く豪快である。Stan Getz とは対照的なたどたどしさと土の匂いのする音が特徴である。

　この Gordon 、パリには縁があった。この録音がされたのは６０年代初めであるが、９０年に入るとパリを舞台にしたフランス映画が作られている。タイトルはラウンド・ミッドナイト。主役である悲劇のジャズミュージシャンを演じたのは他でもない、Gordon だった。

　この映画の主人公となったモデルは前回紹介した Bud Powell その人であり、このアルバムでも共演しているピアニストである。長い間、麻薬に溺れ、立ち直ったと思ったら今度はアルコール中毒の末に一生を終えた彼の悲惨な人生をモチーフに素人の Gordon は好演した。その年のアカデミー主演男優賞の候補にもなったとか。

　私にとってこの映画こそ、長らくジャズから遠ざかっていた足を再びレコード屋に向けさせるきっかけとなったものだ。その当時、まだ入れ替えのなかった映画館で２度、３度連続して見てしまった。感激して高価だったビデオも思い切って買い、何度も繰り返して見たものである。したがって Dexter Gordon というのは私にとって特別な存在である。その Gordon が若き日に Bud Powell と共にパリで好演した一枚がこのアルバムなのだ。

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