感涙保証、私の愛聴盤 その２０

Stan Getz And J.J.Jhonson At The Opera House

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　このアルバムを Stan Getz のベストアルバムとして紹介するのは多少無理があるかもしれない。レコード製作会社の Verve およびプロデューサーのノーマン・グランツの意図としては J.J.Johnson との双頭、もしくは、Oscar Peterson や Herb Ellis、Ray Brown などのバック陣を含めてのオールスターセッションとして売り出したからである。そう、これはもともとはJ.A.T.P.コンサートの一つに位置づけられるものだ。

　そうであってもこのセッションで一番光っているのは Stan Getz に間違いはない。ソロパートを受け持つのはJ.J.と同じ位の時間であるが、そもそもトロンボーン奏者としていかに技量があろうとサキソフォンの様には早いパッセージを吹けるものではなく、Crazy Rhythm や Billie's Bounce のようなアップテンポの曲では Getz の勝ちははっきりしている。加えてこの日の Getz にはバラードにおけるアドリブ解釈においてもなんとも言えぬ哀愁を漂わせて、J.J.の芸術性に格の違いを見せつけているのである。

　J.J.もトロンボーンの技量では抜きん出た名手なのだが、この日の Getz の前では影が薄い。会場がオペラハウスというのもJ.J.には味方しなかったようだ。J.J.はこのようなJ.A.T.P.スタイルの広い会場での公開セッションというのは苦手のような気がする。黒人演奏家としては際立ってクールな人でJ.J.を聴くならスタジオセッションに限るなあ、と思うのである。

　このアルバムには全部で５曲収録されているが、My Funny Valentine では両者の出来が拮抗し、もっともスリリングな演奏となっている。

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