感涙保証、私の愛聴盤 その11
At The Five Spot Vol.1/Eric Dolphy
これも前回と同じく Mal Wldron を追っかけていたときに出会った1枚である。せっかくだからそういう盤をしばらく並べてみようと思う。なにせ、私が最初に”追っかけ”を演じたのは Mal Waldron なのだから・・・。
Mal の幸運は共演者に恵まれたことにある。この愛聴盤シリーズの3番目で紹介した Left Alone では Jackie McLean がいたし、前回は Charlie Mingus がいた。
そしてここでは Booker Little と Eric Dolphy がいた。この Dolphy はおでこのたんこぶだけではなく、他のどの演奏者にもない強烈で個性的な音を持っていた。Alto Sax による馬のいななき、と紹介すると敬遠されそうだが、一度聴くと忘れられない音である。奇を衒った音楽のように思われたら私の紹介がまずいのであって、このA面に刻まれたこれだけスリリングなアドリブは後にも先にもない、と断言していい。
Dolphy と Little のハイテンションのアドリブに触発された Mal の、一生一度の血を流さんばかりのアドリブに、背筋がぞくぞくっとこない人は理詰めの人生に流れを傾けすぎた朴念仁かもしれないね。