感涙保証、私の愛聴盤 その１２

Earthy/The Prestige All Stars

Prestige_Allstars 　お約束どおり前回に続いて Mal Waldron を追っかけていたときに出会った１枚の紹介である。

　Prestige というレーベルはたくさんのモダンジャズ演奏家の録音を残している。その演奏家の多くはどちらかといえば洗練されて垢抜けした人が多い。Stan Getz しかり、Miles Davis しかり、Red Garland しかり・・・。

　しかし Mal のピアノはとても洗練されたスタイルとは言いがたい。訥々としたモールス符号のようなフレーズを多用する不器用人間である。したがって Mal のソロはあまり長くは持たない。途中で必ず飽きるのである。ところが、自分のソロが終わって次に渡すときの締めくくりの１、２小節だけは、前もって考えていたかのようなメロディアスでしかもスリリングな音を紡ぎ出す。

　最後よければすべてよし。途中の退屈なところは皆忘れて、ソロの最後の緊張感を楽しもうと、いつのまにかまた最初から聴いてしまっている麻薬のような演奏なのである。

　このアルバムで出色の出来は Al Cohn というテナーサックス奏者。今回のメンバー中では、白人ながら一番 Earthy なのはこの人だ。

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