中古レコードはぶっきらぼう（その７）

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　開店のときに客が並んでいるのはパチンコ屋か、バーゲンのデパートくらいしか 思いつかない。もし、中古レコード屋のシャッターの前で朝早くから待っている人を見 つけると、矢も盾もたまらず会社を休んで並んでいるだろう。

　寝袋などの装備であきらかに夜中から待ち続けているような人々の群が、もし中古 レコード屋の前で見られるものならば、呑むのを中断して、その人たちに加わっている私 かもしれない。

　しかし、６年ほど前のラズウェル・細木の書いた漫画の世界はもはや再現しない。 あの中古レコードコレクション熱が渦巻いていた時代・・・。

　いまや、朝早く行ったところで何も変りばえのしない、順番も変っていないレコー ドが並んでいるだけである。それだけ刺激の少なくなった充足感のある市場になって落ち着 いてしまったのだろう。

　だから、かつてのように目血走って神技のごとくレコードを抜き差ししていた人は今は もうあまりいない。

　それだけ、いいレコードがそれ相応の値段で買えるいい時代になったと思いたい。多少感傷的ではあるが．．．。

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　アルバム名：When Lights Are Low/Tony Bennett (Columbia CS-8975/CL-2175)

　購入価格：１６００円　店：ディスクユニオン新宿（Ｊａｚｚ）

　動機：Tony Bennett は私好みの女性歌手のほとんどと違って、若い頃がだめな歌手である。 聞かせる力というか、歌に心がないように思う。で、いつのまにか、歳をとったBennettを選んで 聞くようになった。これは渋くて心地好い。余裕が出てきたBennettなら、人生を分かり切ったよ うなSinatra よりもずっと疲れない。

　油絵調のジャケットもしぶくていいじゃないか。これはＣＢＳ時代後期の名盤だろう。 なかなか出会えなかった１枚である。

　聞いた感じ：音質は期待していなかったけれどパチパチノイズがすごい。かびだね。 ま、オリジナル盤で千円台だからこんなもの。Milesの名演が残る When Lights Are Low がすばらしく楽しい。笑っているもの、最後は。こんなスウィング感のある歌手って、 いないよな〜。伴奏が Ralph Sharon Trio というのは贅沢なくらい。

　歳とって、どんどんよくなるベネットや

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