中古レコードはぶっきらぼう（その５）

---

　ひとりの歌手にはまってずっと追いかけてしまう癖がある。June Christy, Chris Connor,Julie London,Teddy King,Kitty Kallen,Helen Forrest,etc.

　皆、若い時が輝いていた。晩年の、といっても死んだ人は少ないから、かなり歳を とってから、と言い換えたほうがいいが、そのころの歌が吹込まれたレコードは、若いこ ろのものとの落差から二度とターンテーブルに乗らないことがほとんどだ。

　それで、５０年代にいいアルバムを残した歌手が７０年代、８０年代に再吹込み したレコードを発見しても、経験上、敬遠することが多い。

　そんな昔の歌手の、何度も手に取っては戻した盤なのに、きょうに限ってジャケット を裏返して曲を確かめると、最近気に入って探している曲があった。まあ、歌って いる歌手が少ないから聞き比べのひとつに、という軽い心境で内容にはあまり期待 せずに買って、え〜、目から鱗という盤もある。

---

　アルバム名："Film Noir"/Audrey Morris (Fancy Faire FF7845)

　購入価格：１０００円　店：ディスクユニオン新宿（Ｊａｚｚ）

　動機：Audrey Morrisとは名前からしていかしている、と思う。ピストロバラッズと いうレコードや、ベツレヘム盤など、ジャケット、内容ともいいものだった。しかし、 ８０年代後半に録音された盤ともなると、おばさん声で興醒めという憂き目に会うこと を確信していた私は何度も買うのをためらっていた。

　今回、決心させたのは、Ｂ面１曲目の Again である。こんな有名ないい歌が吹込み はとても少ないことが最近分かって、いろいろ探しているのだ。

　聞いた感じ：いやいや、歳はとっても声が変らない歌手がいるんだよね。しかも、こ のしっとりとした感じはどうだろう。アン・バートンも好きな歌手だけど、声がそっく り。雰囲気は最高。多少、同じ曲調が続くので中だるみするけれど、 Menphis In June なんていままで聞いた中では一番の出来だろうな。

　これは、絶対のお勧め盤。いぇ〜！

　

---