中古レコードはぶっきらぼう（その29）

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　テレビは最初からカラーだったわけではない。中年の紳士・淑女はよくご存知だろう が、ときどきそんなことも知らない若者がいるのでまず話を合せるために。

　このテレビの草創期、ひとつのアメリカ制作番組があった。もちろん白黒である。た ぶん私の記憶では夜９時か１０時頃からやっていたように思う。曜日は定かではない。 家族５人が６畳の部屋に敷かれた蒲団に入り、灯りを消してその番組に見入っていた。 テレビの場面が変われば、部屋全体が暗くなったり、明るくなったりするのが、懐かし い思い出として脳裏に焼きついている。

　この番組が白黒でよかったわけは、どうしてもこのジャンルのドラマにはつきものの ある物質の色が、黒っぽい灰色にしか見えないところにある。私はこの色の液体を見る とだめなのだ。

　この番組はいったい何か？

　一番のヒントを出そう。黒板にチョークが走る。♂、♀、＊、＋、∞。機能文字も含 まれているから、文字化けしているかもしれない。でも吹き替えの言葉が同時にあれば ピンとくる諸氏は多いはず。「男、女、誕生、死亡、そして無限」・・・。

　このドラマのタイトルであり、かつ主人公のベン・ケーシーが、いま、私の部屋でス タンダードを歌っている。もっとも、ベン・ケーシーというより Vincent Edwards と いう名が正しいのだけれども・・・。きょうのきょうまで、彼が歌手だとは知らなかった。

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　アルバム名：Sometimes I'm Happy,Sometimes I'm Blue/Vincent Edwards　　Decca DL 4336
　　　　　　　　　Vincent Edwards Sings　　Decca DL 4311

　購入価格：１２００円×２／ディスクユニオン渋谷店

　動機：きょう買い入れたばかりの盤の紹介なんて久しぶりだ。Vincent Edwards とい う名にはなんとなくひっかかるものがあってよく見ると、ベン・ケーシーだった。裏の 曲名にはほとんど知らない曲がない。すなわち、スタンダードばかり。なかでも、前回 口ずさむ歌で紹介した Say It Isn't So(Irving Berlin) があるのだ。１２００円の盤 １枚では買いにくいのでいろいろ探していたら、なんともう１枚、同じ歌手のアルバム が見つかった。

　聞いた感じ：本職の歌手として聞いたとすると、声はいいけれど深みが足りず平板で 印象に残らないかもしれない。しかし、顔で売った Johnny Desmond と比べてどちらが 本物の歌手に近いか分からない。まだ１枚目しか聞かずに書いているので２枚目を聞い て書くことがあったら、続けてみよう。

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