中古レコードはぶっきらぼう（その14）
当然ながらレコードはたくさんある方がいい店である。しかし狭いスペースに 無理矢理押し込まれたレコードは探すのに骨が折れる。ある店ではとても普通の 背丈では届かない高い場所に並べてみたり、腰をかがめて無理な姿勢をとらない と探せない骨董屋もどきの店もある。
そういう客のことを考えない店は鼻から遠慮するとして、考え方が別れるのが 本棚形式での並べ方の評価である。この陳列法、本屋での並べ方としては普通で も背表紙にあたる部分がとても薄いレコードでは、まずタイトルを読みとるのが 難しい。
また指をかけて引き出すような手がかりもないから、表紙をみるのも大変だ。 したがってこんな風に並べられた棚は遠慮しがちである。ついついジャケットの 表を見せて置かれているえさ箱だけを覗いて引き上げることになる。
しかしだからこそ「本棚」にはお宝が眠っていることが多い、とも言えるのだ。 そういうことを実感したのは二度や三度ではない。ただ、トライした数からすれ ば確率は非常に低いのだ。身体をひねって汗をかくだけに何も収穫が無かったと きの疲労感は実に大きいものがある。
それでも千に一を求めて本棚に向かうのがコレクターなのだろう。
アルバム名：The Helen Ward Song Book Vol.1 Lyricon-1001
購入価格：２０００円 店：渋谷 ディスク・ユニオン
動機：Helen Ward はスイングバンド時代の歌姫のひとり。Benny Goodman との秘め られたロマンスでも有名。若い頃の声はハスキーで可愛い。でも、このアルバムは７０ 年代も最後の録音。おばさん声になった歌姫のアルバムにいいものはないと判っている のだけど、油絵ふうのジャケットで買った１枚。
聞いた感じ：案の定。このアルバムを聞いて昔の Helen を聞いてみたいと思う人は いない。だから歌そのものの評価はしない。曲はほとんどお馴染みのものばかり。スウ ィンギーな Goody Goody、's Wonderful、Jeepers Creepers など楽しいものが多いけど あまり乗っていない。むしろ、The Second Time Around、I Thout About You、Someone To Watch Over Me などしっとりとした曲がまあまあ聞ける。しかし、若い頃の Lee Wiley そっくりの歌い方になっているんだね、おばさん Ward って。
