感涙保証、私の愛聴盤 その９

Live At The Misty/山本 剛

Yamamoto_Tsuyoshi 　佐賀のSwingで学んだことは多かった。マスターはモダンジャズよりもオーソドックスなジャズが好きだったように思う。コルトレーンなどがかかる時はまれで、あるときはグレンミラーの「インザムード」などが店に流れていた。たぶん何度か店の名の由来を訊いたことがあったが、マスターのとぼけた顔が浮かんでくるばかりでその問いに対する確たる返事を覚えていない。

　そこでかけられるレコードのほとんどは私の知らない曲ばかりだった。だからただウィスキーをちびちび舐めながら流れてくる演奏を聴くだけでも楽しかったと思う。でも駆け出しの私はやっぱりジャズの知識も少しは欲しかった。たまに印象に残るレコードがあればジャケットの図柄を本気で記憶したものだ。

　一方でけっして演奏者だとかアルバムタイトルなどは尋ねないようにしていた。その当時から、ええかっこしいだったようである。

　この山本剛のアルバムはSwingで聴いたとたん欲しくなった正真正銘の１枚である。日本人のジャズを馬鹿にしていた私の目から鱗を落としてくれたのがこれである。なんといっても、Dark Eyes でのベースソロがすばらしい。何度聴いても、こんなにスリリングで楽しいベースソロはめったにないと思うのである。

　

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