感涙保証、私の愛聴盤 その８

Night Lights/Gerry Mulligan

Gerry_Mulligan 　ジャズに接し始めた頃、まだレコードも少なく知識も少なかったので、むさぼるように本を読み、ＦＭのジャズ番組を聴いた。ＮＨＫでは週１回、たしか木曜日の午後８時頃ジャズの番組が組まれていた。アンカーは週ごとに変わっていたように思う。本田さんだとか、青木さんだとか、児山さんだとかが交代でやっていた。

　民放では土曜日の深夜にナベサダの番組をやっていたほか、油井正一さんが受け持っていた番組があった。これはジャズの歴史を講義していくような構成で、ビバップの黎明期をとくに詳しく説明していたように記憶している。その番組の名前は忘れたがテーマミュージックと「こんばんは、油井正一でございます」で始まるところはよく覚えている。

　印象的な旋律を持つテーマは聴く度に私の頭を支配した。バリトンサックスの低音が奏でる深夜の番組は私の心待ちにするものの一つとなった。このテーマ曲がショパンの作曲したプレリュードホ短調と知ったのは随分あとで、それがこのレコードのＡ面１曲に入っているのである。

　いまでもこのレコードを聴くと、佐賀市城内にあった６畳一間の下宿の２階の部屋を懐かしく思い出すのである。

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