感涙保証、私の愛聴盤 その８１

Artie Shaw at The Cafe Rouge

Artie Shaw　この伊達男はハリウッドの名だたる女優たちと幾多の浮名を流したことや、突然の演奏活動の休止あるいは復帰という破天荒な生き方ばかりが話題になって、その音楽性が正当に評価されることが少ない。しかしながら1930年代後半から10年間ほどのスイング全盛期において最も好きなバンドを一つ上げるとするなら、私は迷わず Artie Shaw を上げるだろう。

　知名度ならば Benny Goodman が上かもしれない。アレンジならば Glenn Miller が 優れていたかもしれない。華やかさでは Harry James が勝っているかもしれない。アドリブならば Count Basie の名手達がピカ一なのかもしれない。

　でもレコードに針を落とした回数では断然 Artie Shaw なのである。聴きたいという衝動を起こさせるバンドだから総合得点では第１位。必然的に私のレコードコレクションでは枚数でもダントツの１位なのだ。

　とにかく Artie Shaw をとことん追い駆けていた時代があった。どんな駄盤でも彼の作品なら手を出した。幸いにもそこで出会った一人の歌姫が Helen Forrest だった。それから益々のめり込む。ついにはクラシック畑の演奏を吹き込んだコロムビア盤も見つけた。ＬＰに飽き足らず４５回転のドーナツ盤のセットも買い込んだ。しかしそのうち終わりがないことに気づいた。音源が同じでジャケットとタイトルを少し変えただけのアルバムがなんと多いことかと・・・。そうこの盤もそのひとつ。しかし中身は30年代後半の珠玉の名演奏が詰まっている。

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