感涙保証、私の愛聴盤 その７９

The Real Birth Of The Cool/Claude Thornhill Orchestra

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　ニューヨークのビル街をシルエットにしたこのジャケット。意外にも日本製作盤である。日本で作られたジャケットにしては洗練されている方だろう。この景色、直感的に夕陽だと思うのだが、ひょっとしたら朝焼けの光景かもしれないとも思った。街の灯りの具合からは眠らない街ニューヨークの朝と夜の区別がつきにくい。地理に詳しい方ならば赤くなっている方角から夕焼けか朝焼けの区別は簡単につくのだろうが、いかんせん私はまるっきり知らないのだ。

　Claude Thornhill というバンドはこのアルバムの題名からも分かるように騒がしさとは対極の音楽を得意とする。バンドのテーマ曲は Snowfall。このアルバムの冒頭にも収録されている。また同じ曲調の曲の冒頭にはこのテーマを１小節ほど入れてスタートさせるところなど、ずいぶんとお気に入りのメロディーのようである。このテーマ曲を含めて全部で１９曲という構成は普通のレコードの５割増し。寄せ集め盤にしてもがんばっているではないか。

　１９曲のなかではテーマ曲のほかに There's Small Hotel がいい味である。Snowflakes という男女混声コーラスが入り、ジャケットの雰囲気にとてもピッタリだ。ギル・エバンスの編曲による Arab Dance もエキゾチックでなかなかいい。Fran Warren のボーカル入りも３曲ほど聞かれるが、これは A Sunday Kind Of Love がまあまあのできぐらい。

　スイング・ジャーナルのゴールド・ディスクに選定されなければこれを買うことは無かったろうと思えるほど地味な盤だが、中古レコード屋の片隅でこのジャケットを見つけたら騙されたと思って家まで持って帰り、ジャケットを眺めながら針を落とすことをお薦めしよう。

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