感涙保証、私の愛聴盤 その７４

Young Man With A Horn/Doris Day with Harry James Orchestra

Doris Day

　ここに１本のヴィデオテープがある。７年ほど前に渋谷で買った。アメリカ映画・・・吹き替えなし・・・字幕もなし・・・。主演はカーク・ダグラス。そう、あの顎にえくぼのあるおっさんだ。共演女優はロレン・バコール。陰のある薄幸の美女を演じれば天下一品。それにもう一人がドリス・デイ。屈託の無い夢見る少女・・・。

　この映画、英語力がほとんど無い私にも何度も見ていればあらすじは分かってくるものだ。才能あるトランペット奏者、カーク・ダグラスとロレン・バコールとの恋の始まりと夫婦生活の終焉。天才トランペッターの荒んだ生活。最後までその側に居たのは映画の中でも歌手役のドリス・デイ。気づかなかったのかもしれないがお互い心の支えだったんだろうね。

　そういうあらすじでストーリーとしてはなんということはない。しかし音楽はいいねえ。まず、カーク・ダグラスの師匠が不運にも亡くなって、その葬儀の場面で彼が吹く Nobody Knows The Troubles I've Seen という黒人霊歌。トランペットの吹き替えは Harry James。この華やかなトランペッターが哀愁溢れるメロディーを奏でる。こんな裏芸があったのかと唸らせるほどのいい出来だ。ただしこのアルバムには収録されていない、残念ながら。

　そして紆余曲折は省略して最後の場面。復活したカーク・ダグラスの演奏とドリスの歌。With A Song In My Heart。このアルバムで最高の１曲。これを聞くと毎度のごとく鳥肌が立ち、感情が昂ぶるのを抑え切れない私である。ほんとにドリスは２０世紀最高のエンターテイナーだな。

前へ　　　　　　　　 back to menu 　　　　　　 back to home 　　　　　　　　 次へ