感涙保証、私の愛聴盤 その７３
Billy Butterfield Goes To N.Y.U
私が惚れ込んだジャケットには分類すると二つある。一つは魅力的な女性群でこれはこれまで相当数お披露目してきたし、これからも努めて紹介しようと思う。もう一つは秀逸なデザインだ。今回取り上げるジャケットは見てのとおり後者の方で Burt Goldblatt の作品である。Burt の写真は Bethlehem 盤のモノトーンのジャケットに多く採用されているのでご存知の方も多いだろう。たとえば Mel Torme の It's a Blue World がそうである。
中間派ジャズといったジャンルをここのところ紹介してきているが、今回のアルバムはちょっと毛色が変わっていて、ジャズ啓蒙のための大学でのライブ録音という趣向だ。そんな音楽だと堅苦しいと思いがちだけどもそれは杞憂。聴衆、この場合はニューヨーク大学の学生がほとんどと思われるが、上品ながらもけっこういい乗り方をしているようである。
それもこれも Billy Butterfield というトランペッターの真面目な性格がアカデミックな雰囲気に合うからだろう。たとえばＢ面１曲目の「聖者の行進」がそれほどの盛り上がりをみせないまま終了するのに対して、同じ面の二曲目、クールなトランペットソロで始まる West End Blues では会場の興奮が徐々に高まるのが聞き取れる。まことに Billy の後にも先にもない名演奏ゆえと言えよう。
この ESSEX の大学キャンパスコンサートシリーズは他に３枚あって、それぞれの大学のマスコットを Burt がジャケットに採用しているわけだが、どれもすばらしい。といって私がそのレコードを保有しているわけではなく、実はレコードコレクターズ通巻２２号のカラーページを眺めながら喉の奥から出てきそうな手を押さえているのである。
