感涙保証、私の愛聴盤 その６４

Point of Departure/Gary McFarland

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　なんとも不思議な心地よい音楽である。ジャズと言ってよいかどうかも怪しいが、ま、私が何度も聴きたくなるのだからジャズに入れておこう。しかし、どんな音楽かを言葉で説明するのは難しい。一言で言うなら、ごちゃまぜの面白さであろうか。ボサノバのようで、フュージョンのようで、やっぱしプログレッシブなジャズかなあ・・・。

　このレコードに出会ったのは新宿の裏通りにある小さな中古レコード店。ある有名なジャズ中古レコード専門の老舗の近くにひっそりと開けていた。掘り出し物が１枚でもあれば儲け物と思って探していたときにふとこのジャケットに目が止まった。しっかりとした Impulse の二つ折りジャケット。手触りからしてオリジナルだ。そして特徴的な目をした彼の顔には何か惹かれるものがあった。そう、ジェームス・ディーンにちょっと似ているだろう？

　Ａ面１曲目は印象的なギターの演奏で始まる。テンポのいいリズムである。単調である分、次第によくなる法華の太鼓よろしく聴きやすくなってくるのだ。さらにパーカッションやブラスが加わってサウンドが分厚くなる。彼自身はバイブラフォンを叩くのだが演奏家としては主役ではない。明らかに作曲、編曲に才能を見せようとしたアルバムである。途中、彼自身のスキャット的な声も聞けるが、これは楽器のひとつとして参加している程度。でも、ボーカルをやればこのフェイスだからハリー・コニックＪｒ．くらいにはなれたかもしれないな。バリバリのジャズに疲れたらこんな音楽もいいと思うよ。

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