感涙保証、私の愛聴盤 その６
We Get Requests/Oscar Peterson Trio
オスカー･ピーターソンなんて昔は嫌いだった。テクニックはあるのだが迫力がない、何を聴いてもイージー･リスニングというのが若き私の限界だった。
たしかに一時期、とくに２０代の前半は、世の中を斜に構えて見ていたせいもあって、精神的なものを追い求めた、どちらかというと前衛的なジャズにはまっていたときがあった。大音量で聴くサックスの咆哮、じっと目を閉じ体全体でリズムを刻む。終わったときの虚脱感。そんな聴き方を毎日続ければ疲れるわなあ・・・。
ピーターソンのピアノにはぐいぐい惹きつけるものはない代わりに、聴くほうを疲れさせないという特徴がある。いや、疲れた心を癒してくれるようなひとときを与えてくれることが多い。そう気づいたのは肩から力が抜けて自然に生きていこうと思ったときだった。
ほとんどターンテーブルに乗ることがなかったピーターソンのおすすめの１枚がこれだ。ウィスキーグラスを片手に目をつぶれば、そこはもうニューヨークのナイトクラブ・・・。Ray Brown のベースに注目。
