感涙保証、私の愛聴盤 その５２
The In Crowd/Ramsey Lewis
ラムゼイ・ルイスはそれまで私が聴いていたジャズの系統からすればちょっと路線が外れた大衆受けのする演奏家であった。それまで聴いていたのは、どちらかというとモダンジャズの王道、マイルスとかコルトレーンとか、多少軽くなったとしてもウィントン・ケリー程度で、逆にアバンギャルドにややはまっていた時期もある。
それがどうして聴くことになったかといえば、やはり本の影響だろう。油井正一がピアノの名盤ばかり紹介していた文庫本の中にこのアルバムもあったように思う。白黒だったけれどもジャケットの絵が載ったこの本を何度も繰り返して見ていたので、中古レコード屋で見なれたデザインに出遭うと、つい買ってしまうことが続いた。そしてそのアルバムの肩にコレクション済を示す○印をつけていった。いつのまにか印がずらりと並んだころ、やっとピアノのレコードから足を洗うことができたような気がする。
油井正一がこのレコードを誉めていたかどうか知らないが、一聴、私は気に入った。The In Crowd、実にノリのいい曲なのである。これを純粋にジャズと呼ぶのは気が引けるのだが、とにかくライブ感あふれるすばらしくハイテンションの演奏ではあった。このアルバムが気に入って、しばらくラムゼイ・ルイスのアルバムがあったら迷わず買う時期もあったほどだ。ま、飽きるまではそう長くかからなかったのだけども・・・。
あるとき、この曲の演奏をとある熊本のキャバレーで聴く機会があった。会社の連中と一緒のときだった。何かの二次会だったように思う。ストリップまがいのショーのバックで専属のバンドが演奏していたのだけど、聞き覚えがある曲なのに最初は何の曲か分からず、ショーはそっちのけで、必死で曲名を思い出そうとして首をひねっていたことを懐かしく思い出すのである。かれこれ２０年ほど前のことだなあ・・・。
