感涙保証、私の愛聴盤 その４３
Grand Encounter/John Lewis
思い返すとこのジャケットをずいぶん探し回ったものだ。西から東まで、どこで見つけたのだろう、結局、手に入れたのはペラペラジャケットの古いビクター盤になってしまった。盤の状態もけっしていいわけではなかったが、大奮発して片手ほど出したはずだ。それからすぐに東芝ＥＭＩから再発されて新品でもその半額以下で手に入れることが可能となったことを覚えている。このポピュラーな盤もえらく稀少価値がある時代があったのだ。どうしても欲しかった１枚として記憶に鮮明な１枚である。
誤解されるといけないので最初に断っておくが一にも二にも中身のよさにひかれてのことである。たしかにジャケットもいいけれど・・・。この John Lewis は ＭＪＱ のリーダーとして有名である。これは Milt Jackson という ＭＪＱ のCo-Leader を抜きにした、がらっと趣きが違う演奏。彼名義のアルバムはその名も Grand Encounter。東海岸のジャズマンが西海岸のジャズマンとあいまみえたという想定での共演盤である。演奏はただひたすら上品である。しかし、Jhon Lewis という人の音楽理論が、西海岸の白人ジャズマンの音楽性とぴったしで、こんなすばらしい演奏を生んだ。とくにテナーのBill Parkins が出色である。
けだるくくて昼寝をしてしまいそうな Love Or Leave Me を聴いて欲しい。John Lewis のポツポツとした指の運び。優しい息遣いの Bill Perkins のテナー。実にファンタスティックで何度聴いても聴きあきないテーマが完成した。素人考えだろうけど、テクニックのない人でも人差し指だけで Jhon Lewis に成れるんじゃないかという気がするから不思議である。それくらい音の一つ一つを大事にする世紀の雨だれピアニストなのだった。
