感涙保証、私の愛聴盤 その３５

Ballads & Burton/Ann Burton

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　ジャケット全体が顔というのは珍しくないけれど、これは大きくて印象的だ。とびっきりの美人というわけではないが、目がこっちを向いていて何か思わせぶり。しかし僅かに左目の目線がずれているのでうつろな表情にも見える。人間の表情って奥が深いよな。

　ジャズ歌手が多いのはもちろんアメリカ。でもこの Ann Burton という人はオランダ人である。ヨーロッパの中では有名な女性ジャズ歌手を生んでいる国だ。あとで紹介するかもしれないが、Rita Ryce という私が好きな歌手もオランダの人だ。

　このアルバムは Ann Burton のものとしてはあまり評価が高くない。どちらかというと第１作目の Blue Burton のほうを彼女の代表作として紹介している本や評論家が多い。Sunny という当時の超ヒットソングを最後に持ってきている点が印象を強くしているのかもしれない。しかし、好みからすれば私はこのアルバムを推す。

　実はこのアルバムにもジャズのスタンダードだけでなく、Bang Bang というようなポピュラー系のヒットソングも含まれていて、一瞬眉根に皺がよるのだが、アルバム全体のしっとりとしたムードを損なってはいない。逆に彼女の声が耳の周りにまとわりついて夢見心地に誘ってくれるいい雰囲気を醸し出しているのだ。最後に取っておきを紹介しておくと、このアルバムを締めくくる Here's that rainy day が余韻を残して素晴らしい。

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