感涙保証、私の愛聴盤 その１４

The Beginning And The End/Clifford Brown

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　1956年６月２６日、ペンシルバニア州ターンパイク。堤防に激突する自動車事故で彼はこの世を去った。享年２５歳。このレコードは彼が亡くなるほんの数時間前のライブレコーディングを収めている。それが運命として決まっていたかのように、最期の演奏が最高の演奏になってしまった。

　クリフォード・ブラウン。心惹かれるジャズ演奏家、数ある中で、彼ほど人間的に完成された人はいなかったように思う。一流のジャズ奏者が酒や麻薬に溺れていた事例は枚挙に暇がない。人間的に気難しく変人扱いされた有名奏者も数多い。そんな芸術家肌の音楽家が理不尽にも別格に扱われがちなジャズの世界で、酒もタバコも、もちろん麻薬もやらなかったブラウンだが、２５歳までのわずかな人生で残した演奏のすばらしさから、彼が傑出した演奏家であるのは誰しも異議を唱えることがない。そう、後にも先にも彼がナンバーワンであることを私も支持する一人である。

　このアルバムの The Beginning の部分は付け足しである。早い話、聴く必要はない。The End の演奏は地元のアマチュアに近い人々とのジャムセッションで、これが命である。なかでも Brown の A Night In Tunisia におけるアドリブはぜひ万人に聴いてもらいたい。ここまで人の心を弾ませる演奏があったであろうか。本当にトランペットが歌っているかのようなＢ面１曲目である。

　蛇足のようだが地元の取り巻きのなかでは Billy Root のテナーがピカ一で、これには自然と体が Swing してしまいそうだ。

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