中古レコードはぶっきらぼう（その19）
ＣＤよりもＬＰが絶対好きである。だが、ＬＰでは困ると思うときもある。かさば るからだ。３０センチ四方の大きさは折り畳むこともできないから、隠すことがほ とんど不可能なのである。ＣＤならコートのポケットにでも、腹巻の下にでも簡単 に収めることができるのに。
勘違いされるといけないから少し説明する。なにも万引きのし易さを云々している わけではない。
隠したいのは、それと分かるモノをぶら下げていると、私には不釣り合いと言わん ばかりの怪訝な顔をしたり、いったいどんな高尚なレコードなの、と嫌味な質問を ぶつけてくる知り合いの多さに起因する。
それくらいならまだいい。きっとあの人ならポルノまがいのレーザーディスクに違 いないと、はなからスケベおやじを見るような目つきをされることにも因る。
それほど私は、普段カラオケもやらなければ、いま流行りのアーティストの話にも 無知で、はたまたギターひとつ弾けるわけでもなくあらゆる楽器に無縁であって、 コード進行などという初歩的な音楽理論にもまったく無防備な、しかもいかにもス ケベ顔をした不粋なおやじなのである。
アルバム名：The Fontane Sisters Sing Dot DLP-3004
購入価格：２４５０円 店：渋谷 レコファン
動機：コーラスグループというのは好きである。とくに、なんとか Sisters という のは魅惑的なハーモニーだけでなく、容姿的な関心も加わって興味がつきない。だが、 けっして、美人かそうでないかということを基準に見ているのではない。同じ遺伝子を 受け継いだ姉妹なのに背の高さや声の質、髪の色まで微妙に違うのが不思議でおもしろ いのである。このジャケットでも３人姉妹の髪の色を比較しながらいろいろ物語を考え てしまう。ブロンドとブルネットと赤毛．．．。
聞いた感じ：残念ながらこれはジャズではないし、ポビュラーボーカルのなかでもロ ックンロールのはしり、５０年代中期の曲を集めたものだから、興醒めである。当時の ヒットチャートに上ったとは書いてあるけれど、まったく今では歌われない曲ばかり。 単なる流行り歌とスタンダードとなる曲の格の違いというべきか。
わずかに、Playmates と If I Could Be With You だけが古くから歌い継がれた曲とし て採用されてはいる。しかし、この曲でさえ編曲者の Billy Vaughn はうるさいギター を終始からませて、単なるガチャガチャ音楽にしてしまっているのである。
ジャケットだけを眺めて楽しむ１枚である。
