感涙保証、私の愛聴盤 その３０

Hampton Haws Trio Vol.1

---

　Hampton Haws は戦後のある時期、日本に滞在していたと言う。基地の近くのジャズスポットでは暇をみて演奏していたらしいが、そこで見出されたジャズ演奏家は少なくない。日本を代表するジャズピアニスト、秋吉敏子もそうである。

　日本にいる間はきちんとしたレコーディングは残っていないと思う。しかしHampton Haws のレコードは米国に帰った以後に、結構たくさん出された。とりわけ Contemporary というレーベルには面白い録音がそろっているようだ。

　Hampton Haws の演奏の魅力は一言でいうと「躍動感」である。実に小気味よく跳ねるピアノなのだ。滑らかに指が動いている感じではなく、無理して指を運んでいるようなそんな弾き方が頭に浮かぶ。私はピアノをひかないが、こんな弾き方は相当に指が痛いのではないんかなあ・・・。だからあとではエレクトリックに流れたのかもしれん。

　この演奏家、ところどころに絶妙の間（ま）が空く。これは他のピアニストの誰にも真似できない間である。この間と、どこか親しみを感じる音色は、やはり彼が日本に長期滞在していたことに関係があるのかもしれない。

---